大黒へのパスはワンツーだった  | スポーツの王道

大黒へのパスはワンツーだった 

大黒へのパスはワンツーだった !   磐田の日本代表MF福西崇史(28)が14日、W杯アジア最終予選・北朝鮮戦のロスタイム決勝ゴールの真相を苦笑いで明かした。途中出場のFW大黒将志(24=G大阪)へのピンポイントパスは自分に返ってくるつもりで出していた。劇的ゴールを決めるはずが、大黒様に「福」をプレゼントする格好になった。
 G大阪の大黒を一瞬にして日本の「大黒様」に変えた北朝鮮戦のパスは、福西にとってはちょっとしたハプニングだった。「あれはねえ。ワンツーしようかと思って出したら(大黒が)そのまま打ってしまったんです」。ちゃめっ気たっぷりに打ち明けた。
 本当は決勝ゴールを決めているはずだった。引き分け濃厚の北朝鮮戦の後半ロスタイム。右サイドから小笠原の放り込んだボールをGKがはじいて目の前に飛んできた。その瞬間、右足で落ち着いて前方の大黒に落とした。ちょうどゴールを背にして立っていた大黒が、すぐに壁パスで返してくれるとひらめいたからこその、ワンタッチプレーだった。
 しかし自分へのラストパスと判断した大黒が体を反転させてシュート。「福」の神は大黒様にほほえんだ。「あれが入って勝ったから、それはそれでよかったんですけどね」。主役の座を奪われてしまった福西はニヤリと笑った。
 元FWの得点感覚を買われ、昨季は磐田でも戦況に応じて、試合途中からトップ下やFWの位置に移行。豪快なセットプレーでのヘディングも含め、数々の劇的なゴールに絡んできた。代表でも昨夏のアジア杯で2ゴールを決めるなど活躍。1年間でチームと代表で公式戦13ゴール。ボランチとしては異例の得点力を発揮している。元FWの攻撃センスが大黒のゴールを生み出したともいえる。
 今日15日に磐田の練習に合流する。大量補強で競争の増したチームの状況を気にはしていたが「やってみないと分からないですからね。もちろん競争ですよ」と淡々と話した。この冷静さもジーコジャパンにとっては心強い。次は3月25日のイラン戦(テヘラン)。福笑いといきたいところだ。【大石健司】