裏切り者、詐欺師 クレメンス | スポーツの王道

裏切り者、詐欺師 クレメンス


 国民的英雄に向けられたことのなかった言葉が紙面に並んだ。
「裏切り者」「詐欺師」「恥知らず」…。13日付の米ニューヨーク・ポスト紙は、ヤンキースで引退を表明しながらアストロズと契約したロジャー・クレメンス投手を、痛烈に批判した。
 同紙は1999年のヤンキース入団からのクレメンスの発言を表にして紹介。「一生ヤンキースの一員でいたい」「ヤンキースの選手として殿堂に入りたい」などの言葉を並べ、コラムニストのマイク・バカロ氏が300勝右腕の変節ぶりをたたいた。
 クレメンスが故郷のヒューストンで現役最後のシーズンを送るといううわさは、シーズン前からあった。ただ本人が重ねて引退を口にするうち、米メディアも故郷でのプレーに触れることはなくなった。レギュラーシーズン最終戦では代理監督まで務め、ポストシーズンに入ってからは全登板試合で“最終戦”として盛大な拍手を浴びた。
 「78日間で引退を撤回しても、何ら違法性はない」と同紙は復帰の事実を責めはしないが、「あれだけ言っておいて…」の思いがあるのは間違いない。
 アストロズはクレメンスにとって4球団目。「前の彼を裏切った美人の彼女が、自分を裏切らないだろうと信じていた男と同じ」と、バカロ氏も批判のむなしさを自覚する。すべては愛するがゆえ、か。(ニューヨーク共同)